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映画『JOIKA 美と狂気のバレリーナ』

  • 執筆者の写真: Kameda Risa
    Kameda Risa
  • 4月30日
  • 読了時間: 5分

更新日:5月3日



映画『JOIKA 美と狂気のバレリーナ』


監督:ジェームス・ネイピア・ロバートソン

出演:タリア・ライダー/ダイアン・クルーガー/

オレグ・イベンコ/ナターシャ・オルダースレイド/

ナタリア・オシポア(本人役)/

シャーロッテ・ウベン/エリカ・ホーウッド/アルチュール・シェステリコ/チナラ・アリザーデ



息も忘れた。

最近、睡魔に襲われがちでも、そんな隙すら与えない緊張感がずっと、ずっっと続いた。


12年間ほどバレエを“習っていた”だけの私。

それでも感じていたし、今は腑に落ちるのが、クラシックバレエへの信仰感。


仕事もプライベートも、と自分の人生大事にしようぜって今の世の中だけど、それでも真逆をゆく。

人生を捧げる、なんて言葉が嘘偽りなく浸透する一種の宗教みたいなものがある。

とても崇高で尊い、煌めきが眩しすぎる世界。


ジョイカは狂信者みたいだった。

でもバレエに留まらず、どの世界にもイキすぎた想いを持つ人・または世界はたくさんある。


上手い下手、上と下、出来る出来ない、

スポーツほど数字ではっきりするわけじゃないけれど、それなりに結果が出る。

なのにそれだけじゃどうにもならない。

これが1番歯痒くて、悔しい人生の局面。


それでもジョイカはなりふり構わず突き進む。

自分がおかしい道を選んでいることも頭では分かっている。

ただただ、夢のため、目指す場所のために頑張っていただけ。


頑張った先、更に高みを目指すのは悪いことなんだろうか。


「スキルよりもスポンサーを探せ」

そんな答えに、私が出血多量を起こすところだった。白目)


踏みとどまった結果は、分かっていたけどあまりにも酷い仕打ち。

けれど、あのまま身を委ねる人もいるだろう。

そして、どちらが良いとは言えない。

イチ観客の私が、良いも悪いも言う立場なんかじゃないもの。

誰しもが、ただただ頑張っているんだから。


でも、頑張りに必要な自己犠牲を超えたら哀しいよ。


似ている、とは思わないけれど、ジョイカの進める時間は私のこれまでの走馬灯みたいだった。

言われたから踏み出しただけなのに、やっぱりダメと断れば人生ごともっていかれてしまう。


女性が夢やキャリアのために頑張る先には、どうしてごちゃごちゃした事が立ちはだかるのだろうね。

映画では「政治的」と言っていたモノであり、先生も経験した“スポンサーからの贈り物”だったり。


決してそういった狙いはないであろうけれど


今作は、ある種、MeToo的な映画かもしれない。

うーん、でもそれは言い過ぎか。



ただジョイカには、見ていてくれた人がいた。

優しいイジワルを引き合いに、チャンスをくれた。


そして上も下でもなく、自分の居場所のために踊り続けた。


彼女視点の映画だったから、もしかしたら偏った思想も脚色されている可能性もある。

とはいえ、ボリショイはこれに激怒しなかっただろうか。震)


いや、トランプ大統領みたく「認めない」なんてコメントのひとつも出さず、内情は秘めたままかも。

『教皇選挙』じゃないけど、なんたって、聖域に近い場所なのだから。



ちょっと記憶が曖昧だけど、

『ブラック・スワン』の方がエンタメになるドロドロだった気がする。


『ジョイカ』は、あの狂気の、その先まで。




見えない場所で起こる女性の生き方、戦い、葛藤、そして痛みは、エンタメにしては痛烈すぎてしんどかった…。


頭も心も痛かった。

でも“痛みは友達”。

世に放ってくれた痛みは、相当な激痛を伴って癒しになってくれた。


自分でもよくわからないけど、癒してくれたと感じたんだ。



ーーー追記ーーー


忘れちゃいけない、マジでめちゃくちゃ好きな一言があったんだ。


今作には、今、実際に活躍されている現役のスタープリマで、ジョイカの憧れであるナタリア・オシポアが登場する。


ジョイカが振りを覚えるため、彼女の動画を参考に見ていたときにね、あまりの素晴らしさに笑みを浮かべながら画面に向かって「Fuck(幸)」て言うのよ。

良すぎて、好きすぎて出たのが「ファック」。


字幕では「すごい」になってたけど、個人的は元のNGワードの方がめちゃくそ共感できた。


わかる。

憧れの人の姿は、もはやその域だよね。


多分、マリリン・モンローをみつめる私も同じ顔をしているんだろうな。なんて。

(私は「かわいぃぃぃ」「はぁあぁぁ」「いいわぁ」を、しみじみと連発しちゃうのだけど。)



そしてなんと、

そのナタリア・オシポア本人が本人として『白鳥の湖』を映画内で踊っているんだから度肝抜かされる。白目)


YouTubeにも本編映像として出ているけど、あまりにも素晴らしすぎたんだ。


ジョイカと同じ顔になってたよ私。

涙が込み上げてきたよ。

あまりにも人間離れした踊りなんだもの。


『白鳥の湖』は何度も観てきているのに、

人が白鳥に扮する表現力がレベチ。

腕が、動きが、白鳥そのもの。


こんな世界レベルの踊りを、例えワンシーンでも映画館で観られるなんて…

それだけでチケット代ペイした甲斐がある。

心から震えた。




上半期ベストが揺らぐ…。

私情が入りまくりだけど、評論家じゃないし。

私情込み込みでベストを決めたっていいよね。

勝手に決めてるものだし。笑)



『JOIKA 美と狂気のバレリーナ』公式サイト

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